1011058_l (監督) 大島渚 (1960)

シネ・ヌーヴォで見る。大島渚の初期作品。大阪釜ヶ崎を舞台に、暴力団、ホームレス、労働者が描かれる。

ちょっとしたことをきっかけに、武(佐々木功)は信(津川雅彦)率いる暴力団に入るが、そこは厳しい縦社会のまかり通る非人間的な世界だった。ヒロイン花子(炎加代子)は、旧軍人の怪しい男らと一緒に、ホームレスを率いて、血液銀行を起こし儲けようとたくらむ。しかし、男と取り分で揉めたことをきっかけに仲間割れ。信と彼の暴力団に頼んで血液銀行を潰させた。そうしたことをきっかけに、武と花子はだんだんと惹かれていく――。

世間的には下層である人たちの燃えるような熱さが伝わる作品。白黒映画だと勝手に思っていたので、タイトルが赤く出たときは予想外でちょっとうれしかった。川又昴撮影の画面は美しく、労働者の汗、ホームレスたちの酒に焼けた赤い顔色、肌の色、原色の服、夕暮れの町、と鮮やかで迫力がある。

1960年という時代も感じるが、炎加代子演じる大阪弁のきついヒロインは魅力的だし、途中のラブシーンも美しい。佐々木功はあの「ささきいさお」(歌手)で、今時っぽい男前だった。津川雅彦もあんなに格好良かったのか。通天閣と大阪城がときどき映る。